人生の続きを聖女として始めます
「……カエルでも好きなの?」

「……正直に言って……あまり得意ではないが、君がカエルになるのなら、頑張って好きになる……」

……例えで出したのは苦手なものリストだったんだ……。

「………よかったね……人間で……」

「うん、良かったよ……」

ほっとしたように言うと、抱き込んでいた体を漸く放し、今度は一歩離れて覗き込んできた。
顔が……顔が近い!

「不安なことはすぐに聞け。何でも答えてやるから。君に嘘や隠し事はしない」

「う、うん、わかった。ごめん」

「謝るなよ、可愛いな」

「ふへっ??」

会話の途中で、関係ない言葉をいれてくるのやめてくれる?
お陰で、心臓は跳ね上がるわ、声は上擦るわで恥ずかしいんですけど!?

「さっ、さぁ!皆が待ってるよ?早く軍議に戻りましょう!!ね?戻りましょう!?」

クスクス笑うレグルスの横をすり抜け、足早に扉に向かう。
動揺して右手と右足が同時に出たのを見逃さなかったレグルスは、今度は大声で笑った。
そうだった、レグルスはこんな人だった。
私をからかって、驚かせて、意地悪をして……でも最後には甘やかす、というかなりの曲者。
翻弄されていたあの頃を思い出して悔しさが込み上げたけど、その倍くらい嬉しさも溢れた。
自分では変わってしまったと言うけど、本当はは何も変わっていないのかもしれないと。
< 205 / 238 >

この作品をシェア

pagetop