人生の続きを聖女として始めます
ーーー(リブラ)

レーヴェ殿下とエスコルピオ殿がやって来て、大神殿は神殿兵の士気が格段に上がった。
神殿兵とは、大神官が直轄する部隊で、前任者のバロンス様が全ての財力を使って創設したものだ。
5年前に獅子王陛下により半分は解体されてしまったが、今回その任を解かれたものが全て復職した。
というのも、職を失ったものは子爵家であの悲劇を陛下と共に見たもの達であり、秘密保持の為に神殿兵を自ら退いていたからだ。
ある者は、他国への偵察に赴き、またある者は市井へ紛れ込み情報を収集する。
皆、エルナダの為に、スタンフォードの動きを知るべく各地に散っていた。

「リブラ様、配置はこれでよろしいか?」

「ええ。いいと思います」

神殿兵長前任者ラスティが確認を取りに来た。
彼は体格がよく屈強な男だ。
あの夜、子爵邸でマデリン様の亡骸を木から下ろした、それがラスティだったそうだ。
彼は私に向かい、ほっとするように言った。

「……漸く叶いますな……スタンフォードを潰すことが……」

「そうですね……あの、こんな質問不躾とは思いますが……あなたはどうしてそこまでして陛下に尽くすのです?」

それは単純な疑問だった。
悲劇を見て心を痛めたのか?
それとも単なる忠誠心か?
生粋の神徒である私にはその気持ちがわからなかったのだ。
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