人生の続きを聖女として始めます
ーーー(レグルス)
「もうどこにも行けないな」
楡の木に縫い付けられ身動きの取れなくなったスタンフォード父娘は、当初の勢いはどこへやら、頭を抱えたまま、泣き叫んでいる。
「うるさい、黙れ」
剣をバートラムの足ぎりぎりに突き立て恐怖を煽ってやると、奴はひぃ!と一言溢したまま、静かになった。
「追い詰められる恐怖を堪能したか?逃げられないとわかった今の気分はどうだ?ん?」
問いかけると、その顔が更に恐怖にひきつった。
「そうだ。お前のそういう顔を見たかった。ここにいる全員がそう思っているぞ?」
オレの背にはバロンス、ガブリエラ、ロシュ、ドレイクが陣取り、一歩前に出た。
それぞれ言いたいこともあるだろうが、一人として言葉を発さなかった。
ただ、獣を見つめるように静かに睨みを利かせるだけだった。
「……ど、どうか……娘……は、ビクトリアは……お許し……」
「許さん」
バートラムの言葉をオレは拒絶した。
「今更命乞いなど認めない。お前と同じように、ランドル子爵も嘆願したのではないか?娘を助けてくれと……それを、あのような陰惨で卑劣な方法で殺したのだ!これは、自業自得だぞ?例え、ランドル子爵やマデリンが許したとしてもオレは絶対許さない」
そう言うと、バートラムとビクトリアは2人して泣き始めた。
なんと情けない……。
人を操り、命を弄んできたスタンフォードの当主が、こんな覚悟も何もない阿呆だとは。
これでは、死んでいった部下も浮かばれないのでは……と少しだけスタンフォードの部下に同情をした。
「引っ立てろ」
オレの言葉に近衛兵が動いた。
彼らは、バートラム達に恨みの籠った目を向けながら立たせ、その後ろでは神殿兵達が口々に罵る声が聞こえた。
「悪魔め!」
「恥を知れ!」
中にはあの時、子爵邸へ一緒に駆けつけた神殿兵達の姿も見える。
彼らもこの時の為に、身を粉にして働いてくれたのだ。
オレが見ているのに気付くと、神殿兵は深々と頭を下げ、それから穏やかに微笑んだ。
「もうどこにも行けないな」
楡の木に縫い付けられ身動きの取れなくなったスタンフォード父娘は、当初の勢いはどこへやら、頭を抱えたまま、泣き叫んでいる。
「うるさい、黙れ」
剣をバートラムの足ぎりぎりに突き立て恐怖を煽ってやると、奴はひぃ!と一言溢したまま、静かになった。
「追い詰められる恐怖を堪能したか?逃げられないとわかった今の気分はどうだ?ん?」
問いかけると、その顔が更に恐怖にひきつった。
「そうだ。お前のそういう顔を見たかった。ここにいる全員がそう思っているぞ?」
オレの背にはバロンス、ガブリエラ、ロシュ、ドレイクが陣取り、一歩前に出た。
それぞれ言いたいこともあるだろうが、一人として言葉を発さなかった。
ただ、獣を見つめるように静かに睨みを利かせるだけだった。
「……ど、どうか……娘……は、ビクトリアは……お許し……」
「許さん」
バートラムの言葉をオレは拒絶した。
「今更命乞いなど認めない。お前と同じように、ランドル子爵も嘆願したのではないか?娘を助けてくれと……それを、あのような陰惨で卑劣な方法で殺したのだ!これは、自業自得だぞ?例え、ランドル子爵やマデリンが許したとしてもオレは絶対許さない」
そう言うと、バートラムとビクトリアは2人して泣き始めた。
なんと情けない……。
人を操り、命を弄んできたスタンフォードの当主が、こんな覚悟も何もない阿呆だとは。
これでは、死んでいった部下も浮かばれないのでは……と少しだけスタンフォードの部下に同情をした。
「引っ立てろ」
オレの言葉に近衛兵が動いた。
彼らは、バートラム達に恨みの籠った目を向けながら立たせ、その後ろでは神殿兵達が口々に罵る声が聞こえた。
「悪魔め!」
「恥を知れ!」
中にはあの時、子爵邸へ一緒に駆けつけた神殿兵達の姿も見える。
彼らもこの時の為に、身を粉にして働いてくれたのだ。
オレが見ているのに気付くと、神殿兵は深々と頭を下げ、それから穏やかに微笑んだ。