人生の続きを聖女として始めます
バロンスがどんな企みを始めたのかはわからない。
だが、こちらもすまして様子を見ることにした。
「ルリオン様は最近まで体調が思わしくなかった。このバートラムと共謀したビクトリアに毒を盛られてな。そのため、皆のことを考える余裕がなかったことを許して欲しい。苦しい生活を敷いたことをルリオン様も悔いておられた」
バロンスは目を閉じ、手を胸に当てる。
それからたっぷり間を取って、また話を続けた。
「ルリオン様の体調はどんどん悪化していった。そして、もう自身が長くないと悟り瀕死の床にレグルス様を呼び、後を任せられたのだ」
バロンスのかいつまんだ説明に、民はぽかんと口を開けていた。
オレも心の中では同じような顔をしていたが、もちろん外には出さなかった。
随分時系列がおかしい気がするぞ?
しかも、結果は合っているが過程がメチャクチャだ。
言い終わったバロンスは、こちらに歩みより小声で囁いた。
「後はお任せします。出来るだけ優しい獅子王を印象付けてください」
そんなことを言われても困る……。
だが、賽はもう投げられているのだ。
ここで何も言わないわけにはいかないだろう。
オレは一歩前に進み出て、いつもより声を高く響かせた。
「皆、オレ……私はレグルス・シエル・エルナダ。ルリオンの弟だ。ずっと王家とは距離をとってきたが、兄の頼みで即位することになった……今までの内政を省みない政治を改め、これからは皆に寄り添い、豊かなエルナダを作り上げることを約束したい。助け合って頑張ろう……」
こんなものだろうか?
間違ったことは言ってない……よな?
だが、民が知らぬとはいえ自分で国を荒らしておいて、この言い草はどうかと思う。
これで納得する者がいるのか?
そう考えた途端、地鳴りのような歓声が起こった。
だが、こちらもすまして様子を見ることにした。
「ルリオン様は最近まで体調が思わしくなかった。このバートラムと共謀したビクトリアに毒を盛られてな。そのため、皆のことを考える余裕がなかったことを許して欲しい。苦しい生活を敷いたことをルリオン様も悔いておられた」
バロンスは目を閉じ、手を胸に当てる。
それからたっぷり間を取って、また話を続けた。
「ルリオン様の体調はどんどん悪化していった。そして、もう自身が長くないと悟り瀕死の床にレグルス様を呼び、後を任せられたのだ」
バロンスのかいつまんだ説明に、民はぽかんと口を開けていた。
オレも心の中では同じような顔をしていたが、もちろん外には出さなかった。
随分時系列がおかしい気がするぞ?
しかも、結果は合っているが過程がメチャクチャだ。
言い終わったバロンスは、こちらに歩みより小声で囁いた。
「後はお任せします。出来るだけ優しい獅子王を印象付けてください」
そんなことを言われても困る……。
だが、賽はもう投げられているのだ。
ここで何も言わないわけにはいかないだろう。
オレは一歩前に進み出て、いつもより声を高く響かせた。
「皆、オレ……私はレグルス・シエル・エルナダ。ルリオンの弟だ。ずっと王家とは距離をとってきたが、兄の頼みで即位することになった……今までの内政を省みない政治を改め、これからは皆に寄り添い、豊かなエルナダを作り上げることを約束したい。助け合って頑張ろう……」
こんなものだろうか?
間違ったことは言ってない……よな?
だが、民が知らぬとはいえ自分で国を荒らしておいて、この言い草はどうかと思う。
これで納得する者がいるのか?
そう考えた途端、地鳴りのような歓声が起こった。