人生の続きを聖女として始めます
「レグルス様!獅子王陛下、万歳!」

「期待しております!」

「どうか戦のない世の中を!平和を!」

口々に言う民を、オレは半ば呆然と見ていた。
納得したのか?あれで良かったのか?
……いや、違う。
皆辛かったのだ。
辛すぎて、何かを変えてくれる希望にすがりたかったに過ぎない。

「そ、そんな……民よ、騙されるな!!この男こそ……皆を……」

「黙れ!売国奴!」

叫んだバートラムに石礫が飛んできた。

「お前のせいでエルナダが、世界が荒れたんだぞ!!」

そして罵声も続いた。
オレは手を上げそれを静めた。

「これより、バートラム・スタンフォード、ビクトリア・スタンフォードに然るべき断罪を行う」

「……これで済むと思うなよ。私が消えた所で、エルナダの敵などどんどん出てくるのだ。諸外国に撒いた種は時を経て芽を出すのだからな!」

バートラムが笑う。
それは、オレの不安を煽るためのヤツの最後の攻撃だったのだろう。
だが、そんなものは意味がない。

「お前の言う通り、悪意がこの世から消えることはない。エルナダもまた悪意に巻き込まれることもあるだろう。例えそうであろうとも、エルナダは負けはしない。獅子王と聖女がそうはさせないからだ」
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