人生の続きを聖女として始めます

選択

市民広場でスタンフォード父娘の刑が執行されていた頃。
王宮大神殿では異変が起ころうとしていた。

私やレーヴェ、エスコルピオ、リブラ達神官、市民広場に行かなかった者には松明の撤収作業という仕事がある。
沢山準備した松明は、次々と消火用の水桶に浸けられ役目を終えた。
それらは纏めて大神殿地下の倉庫へと運ぶことになっている。
私とレーヴェが松明を集め、エスコルピオが積み上げる。
そしてリブラがロープで結び、よっこらしょと立ち上がったその時。
大神殿の天井に彫られている紋章が夜中にも関わらずキラキラと輝きだしたのだ。

「へ……?」

リブラが間の抜けた声を出して天をあおぐと、大神殿にいた全員が次々と上を見た。

「何?どういうこと?輝いてるよ?リブラ?」

私がリブラを見ると、彼は金魚のように口をぱくぱくさせていた。

「リブラ??」

「こ、これは……同じです……ジュリ様が来られたときと同じっ!あの紋章が輝いて、上から光の柱が舞い降りて……」

そう言ったすぐ後、リブラの言葉の通りに光の柱が降りてきた。
螺旋を描きながら舞い降りる光は、鱗粉のような煌めきを振り撒いている。
その目映さに見上げていた者達は一斉に目を伏せた。

「樹里……」

光の中から誰かが呼んだ。
伏せていた目を開け、未だ輝き続ける螺旋を見つめる。
すると光は収束していき、中に人の姿を写し出した。
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