人生の続きを聖女として始めます
「彼は予言者であり、時空の扉を開けることが出来た、という話は本当でしたか……」

「そう。彼はこの世界と私達が住む向こうの世界を扉でつなげたの。それがこの紋章……」

「なるほど、それでこの紋章からジュリ様が来たのですね……」

リブラは上を向き、螺旋が降りてきた紋章を見つめ、私も同じ様にそれを見た。
そう言えば……聖フィオーナの大聖堂、そこにもこの紋章があった!
紋章が輝いて、こちらの世界にきたんだった。

「ラシャークは、向こうの世界に生まれる聖女の為に道を作った。彼の記憶を一部引き継いだ私達子孫は長いこと聖女を待ち、そして、樹里が生まれた。同じ年に生まれた私は、彼女の助けになるように見守る役目を与えられた。偶然を装って同室になったり、クラブで一緒になったり……エルナダに呼ばれるその日まで樹里を守るのが私の役目だったけど……」

亜果利は、未だ状況を把握出来てない私を見て、フッと悲しそうに笑った。

「ごめんね。辛い悪夢だと知ってて何もしてあげられなかった。でもその悪夢は樹里の一部だからどうすることも出来なかったんだ……」

「亜果利は……全部知ってたんだ……悪夢の理由も、いずれ私がこっちに来ることも……あなたと出会ったのは……偶然じゃなかったんだ……」

その言葉に亜果利の瞳が曇った。
責めてるように聞こえたのかも知れない。
でも、私の本心はそれとは真逆だった。
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