人生の続きを聖女として始めます
「責めてるんじゃないの。むしろお礼を言いたいくらいなんだよ?」

「樹里……」

亜果利は輝き続ける紋章の中で、不思議そうに私を見つめ返した。

「亜果利がいてくれたから、悪夢にも耐えられた。もし、亜果利がいなかったら、なんて絶対考えられないよ!だから、言わせて!!ありがとう!」

私は亜果利の側へ歩み寄る。
すると、その横にレーヴェが駆け寄り、それを追いかけてエスコルピオもやって来た。
彼らは、亜果利をまっすぐ見て微笑み、少し畏まって頭を下げた。

「も、もうっ!やめてよね!そんな風に言われると泣きそうになるわ!」

亜果利はぐすっと鼻をすすり、少し涙ぐんで叫んだ。
そして、それをごまかそうとしたのか、突然話題をレーヴェに変えた。

「あら?可愛いっ!!この子、もしかして樹里の?」

両手で頬を押さえ亜果利は感動のあまり目を見開いた。
うんうん、わかるよ。
レーヴェの可愛さは罪だよね?

「そうなの。レーヴェって言うの!私の息子!可愛すぎるでしょ?」

「可愛いすぎるーーー!」

私の親バカに亜果利も乗っかった。
それを聞いていたレーヴェは、恥ずかしさに真っ赤になっている。
照れる我が子も超絶可愛いな、と、また親バカが暴走する直前、レーヴェが表情を曇らせて喋り出した。

「……あの……お母様のお友達の方?……お母様のことを連れて帰るのではないですよね?」

「えっ!?」

私は思わず声を上げた。
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