人生の続きを聖女として始めます

恒久

スタンフォードの事件が終わってから2日後。
レグルスと私、そしてレーヴェとエスコルピオは連れだってあるところに向かっていた。

「この辺はもう少し開発したほうがいいな。静かすぎて兄も子爵も寂しいだろう」

レグルスが歩みをゆるめて言った。
北門から王宮を出て、道なりに真っ直ぐ歩くと、寂れた墓地と神殿がある。
そう。ここには、お父様とマデリン(私)が埋葬されている。
自分のお墓に自分がお参りに行く……。
この世界の誰がこんなショッキングな体験をするだろうか……。
本来なら考えられない出来事だけど、もうあまり驚かなくなっている自分がいる。慣れって怖いよね?

「そうね。じゃあさ、神殿も近くの別邸もリフォームしちゃえば?」

「りふぉーむ??」

首を傾げて変な顔をしたレグルスを見て、レーヴェと私は吹き出した。
寂しい墓地が一瞬華やいで、エスコルピオが目を細める。

「改修して新築みたいにすること、かな?」

「へぇ。なるほど。建て直さなくてもそのままで利用するってことか?」

「そうそう。そして、ここにも神殿から交代で神官に来てもらえばどうかな?」

「それはいい。墓の管理もしながら辺りの監視も出来るからな。一石二鳥だ」

レグルスは納得して鷹揚に笑った。
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