人生の続きを聖女として始めます
墓地の中には、大きいもの小さいものいろんなサイズがあり、中ほどに見える一際大きいものを指し、レグルスが言った。
「ほら、これがルリオンの墓だよ」
私達は足を止めた。
「……でも、名前がないよ?」
高そうな黒い石には、没年と性別しか彫られていなかった。
「ルリオンが死んだと、公には公表しなかったからな……名も刻めないなんて気の毒ことをしたよ……だがこれからはここに兄の生きた証を刻もうと思う」
「うん。そうだね」
レグルスは屈み込みルリオンの墓を撫でた。
そして、レーヴェが摘んだばかりの花を供え、私達は祈りを捧げる。
志半ばで倒れ、最後まで弟のことを心配しながら世を去った優しいルリオン……。
その時、私は思い出した。
彼の思いをレグルスに届けると誓ったことを。
「……あのね、ルリオンは闇の中にいるレグルスが心配で天国に行けないっていってた。だからあなたを救って欲しいって言われたの」
「……え?ジュリ……それは……」
レグルスは一瞬唖然とした。
だけど、すぐに事態を呑み込んで切なく笑った。
「……聖女の力か?すごいな、君は兄に会ったのか?」
「ふふ。ルリオンが私を留めてくれたの。天へ帰らないように」
「そうか……感謝しないとな……ジュリを再び抱き締めることが出来るのは、ルリオンのお陰なんだから」
「うん……レグルスが救われたから、ルリオンは安心して旅立ったと思うよ、天へ」
「……そうだといいな……」
「そうだよ、絶対」
レグルスは立ち上がり、もう一度ルリオンの墓を見た。
そして、勢い良く振り返ると、解き放たれたような笑顔で、私とレーヴェを大きな腕で包み込んだ。
「さぁ、今度はランドルとマデリンに会いに行こう」
「ほら、これがルリオンの墓だよ」
私達は足を止めた。
「……でも、名前がないよ?」
高そうな黒い石には、没年と性別しか彫られていなかった。
「ルリオンが死んだと、公には公表しなかったからな……名も刻めないなんて気の毒ことをしたよ……だがこれからはここに兄の生きた証を刻もうと思う」
「うん。そうだね」
レグルスは屈み込みルリオンの墓を撫でた。
そして、レーヴェが摘んだばかりの花を供え、私達は祈りを捧げる。
志半ばで倒れ、最後まで弟のことを心配しながら世を去った優しいルリオン……。
その時、私は思い出した。
彼の思いをレグルスに届けると誓ったことを。
「……あのね、ルリオンは闇の中にいるレグルスが心配で天国に行けないっていってた。だからあなたを救って欲しいって言われたの」
「……え?ジュリ……それは……」
レグルスは一瞬唖然とした。
だけど、すぐに事態を呑み込んで切なく笑った。
「……聖女の力か?すごいな、君は兄に会ったのか?」
「ふふ。ルリオンが私を留めてくれたの。天へ帰らないように」
「そうか……感謝しないとな……ジュリを再び抱き締めることが出来るのは、ルリオンのお陰なんだから」
「うん……レグルスが救われたから、ルリオンは安心して旅立ったと思うよ、天へ」
「……そうだといいな……」
「そうだよ、絶対」
レグルスは立ち上がり、もう一度ルリオンの墓を見た。
そして、勢い良く振り返ると、解き放たれたような笑顔で、私とレーヴェを大きな腕で包み込んだ。
「さぁ、今度はランドルとマデリンに会いに行こう」