人生の続きを聖女として始めます
「………………ん?」

ええと。
お母様はお母様ですけど(前世はね)え?それはどういう意味でのことですか?
首を傾げたまま動けない私に、レーヴェは子供らしい無邪気さで言った。

「聖女様は異世界から父上様と結婚するためにやって来るんでしょ?」

「うっ!」

言葉の直球に、つい呻いてしまった………。
そして、この機を逃すものかと、リブラがレーヴェの言葉を肯定した!

「殿下!左様で御座いますよ?聖女様は殿下の母君になられるのです!そして、もちろん陛下とご結婚なさいますよ!」

「リブラ?それ断ったよね!?」

このままでは丸め込まれる!と、私は毅然として否定した。
だけど、それがレーヴェの顔を曇らせた。

「ジュリ様は……僕のお母様になるの、おイヤですか?」

きゅーん…………。
心の奥の方で何かが掴まれたような気がした。
目の前でシュンと俯くレーヴェを見ていると、罪悪感とともに庇護欲がかきたてられてとても切なくなる。
無理だ、これ、拒絶出来ない!

「とんでもない!レーヴェのお母様になりたいですよ?ええ!喜んでー!」

そして、気づいたらそう叫んでいた。
木嶋樹里、未成年でもちろん未婚、出産経験もないのに、突如現れた母性本能に翻弄されています……。
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