人生の続きを聖女として始めます
「信用してるよ。それはね、聖女様だからじゃない。ジュリ様だったからだよ?わかる?わからないよね?エスコルピオには……だってお前は父上様以外信用しないから」

「殿下!それは……」

「いいんだ……でもね、ジュリ様に関しては譲れないよ?絶対にお隣の部屋にしてもらう!心配ならエスコルピオが見張っていればいいじゃないか」

レーヴェ!?それは嫌よ?
という私の意見はとても発言出来る雰囲気ではない。
殺伐とした異様な空気が部屋を占め、誰もが息苦しく感じ始めたとき、漸くエスコルピオが折れた。

「わかりました……聖女様には、殿下の部屋の隣を用意します」

「エスコルピオ!!ありがと!」

「但し。常に私が同行し行動を監視します。部屋の行き来も私を通してからにして下さい」

めんどくさい!
レーヴェの近くにいれるのは嬉しいけど、こんな物騒なのがいつも側にいるなんて息が詰まるわ。
でも、こんな嬉しそうな顔のレーヴェを見てしまったら、何も言えないわよねぇ。
仕方ないか。

「ジュリ様?それでも大丈夫ですか?」

「う、うん。いいよ、大丈夫」

私の了解を得て、レーヴェは花がぱあっと綻ぶように微笑んだ。
だけどその後ろでは、感情の見えない鉄仮面が不気味に佇んでいた。
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