人生の続きを聖女として始めます
王宮南館。
レーヴェの住んでいるのはその3階で、もっとも日当たりの良い部屋だった。
神殿部寄宿舎からレーヴェと共にこちらに移り、使っていない隣の部屋に案内されると、私はゴロンと豪華なベッドに横になった。
まるでどこかの姫が使うような天蓋のついたベッドはとても寝心地がよい。
きらびやかな鏡台も、花の装飾がされた抽斗も現代では見たこともないような代物だ。
一頻り辺りを見回し、ひと息付くと私はここまでの出来事を振り返る。
聖フィオーナ学園の大聖堂から、ここエルナダへ、あり得ないような現象を体験してやって来た。
自分が見ていた夢が、本当に前世の記憶であったことには驚いたけど、現世での喪失感や郷愁感を思うとこの世界に呼ばれたことは運命だったのだとも思う。
あの日、手放してしまった可愛い我が子……5年の月日が経っていたけど、レーヴェが生きていることに私は初めて神に感謝した。
「聖女!!殿下がお呼びだ!!」
激しいノックの音と共に、エスコルピオの苛立った声がした。
扉が壊れそうなくらいの音に、ビクッと身を起こすと、私は急いで戸口に向かった。
「はいはい。そんなに怒らなくてもいいでしょうよ」
「怒ってない……無駄口を叩くな、早く行け」
相変わらず鉄仮面の表情は読めない。
だけど、面白くないと思っていることは確かだ。
大好きなレーヴェを私に取られたことがそんなに気に入らないのかな?
そう思いニヤリとすると、射殺すような視線が背中に突き刺さった。
「早く行けと言っている………」
「はーい」
ふん。そんな目をしても怖くないもんね。
私的には、レーヴェに忠誠を誓って守ってくれるエスコルピオは、同士のようなものだからね。
まぁ向こうはイヤでしょうけど。
レーヴェの住んでいるのはその3階で、もっとも日当たりの良い部屋だった。
神殿部寄宿舎からレーヴェと共にこちらに移り、使っていない隣の部屋に案内されると、私はゴロンと豪華なベッドに横になった。
まるでどこかの姫が使うような天蓋のついたベッドはとても寝心地がよい。
きらびやかな鏡台も、花の装飾がされた抽斗も現代では見たこともないような代物だ。
一頻り辺りを見回し、ひと息付くと私はここまでの出来事を振り返る。
聖フィオーナ学園の大聖堂から、ここエルナダへ、あり得ないような現象を体験してやって来た。
自分が見ていた夢が、本当に前世の記憶であったことには驚いたけど、現世での喪失感や郷愁感を思うとこの世界に呼ばれたことは運命だったのだとも思う。
あの日、手放してしまった可愛い我が子……5年の月日が経っていたけど、レーヴェが生きていることに私は初めて神に感謝した。
「聖女!!殿下がお呼びだ!!」
激しいノックの音と共に、エスコルピオの苛立った声がした。
扉が壊れそうなくらいの音に、ビクッと身を起こすと、私は急いで戸口に向かった。
「はいはい。そんなに怒らなくてもいいでしょうよ」
「怒ってない……無駄口を叩くな、早く行け」
相変わらず鉄仮面の表情は読めない。
だけど、面白くないと思っていることは確かだ。
大好きなレーヴェを私に取られたことがそんなに気に入らないのかな?
そう思いニヤリとすると、射殺すような視線が背中に突き刺さった。
「早く行けと言っている………」
「はーい」
ふん。そんな目をしても怖くないもんね。
私的には、レーヴェに忠誠を誓って守ってくれるエスコルピオは、同士のようなものだからね。
まぁ向こうはイヤでしょうけど。