人生の続きを聖女として始めます
「意見なんかじゃない!ジュリ様は教えてくれたんだよ?僕が間違った判断をしないように」

「ですが殿下!!」

レーヴェとエスコルピオの殺伐とした言い争いを、間に挟まれた私はヒヤヒヤしながら見守った。

「エスコルピオ!さっきも言ったけど、ジュリ様は僕のお母様だからね!お母様は子供が間違っていたらちゃんと教えてくれるものなんだよ?それに、今のはエスコルピオのことを思って言ってくれたことでしょ?」

「……は、はぁ……それは……」

鉄仮面はレーヴェに丸め込まれつつある。
どうもレーヴェは舌戦に長けているところがあり、それがレグルスを彷彿とさせ私は遠い目をした。
頭の良かった彼に、マデリンはいつも言いくるめられていたし、それがいちいち正論だったから余計に悔しかったのを覚えている。
今、彼は生きているのか……もう死んでしまったのか……。
獅子王ルリオンに聞けば、何かわかるかもしれない。
どちらにしろ、レーヴェとここで暮らすためには、獅子王に会うことは避けられないことだ。

「ジュリ様?」

「……う、うん、はい?」

考え事をしている間に、レーヴェとエスコルピオの戦い?も終わっていたみたいだ。
そして戦いの勝敗も、2人の顔を見るとすぐにわかった。

「そろそろ休憩してお茶にしましょうか?」

「そうね。うん。ありがとう」

私の了解をとると、レーヴェは背後の項垂れたエスコルピオに声をかけた。
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