人生の続きを聖女として始めます

エスコルピオ

その日は、夕方までレーヴェの勉強を見てから聖女としてのお務めである夕方の礼拝に参加した。
獅子王と正式に結婚するまでは、聖女の管轄は神殿部らしい。
結婚してしまえば、それもしなくていいらしいけど、それなら礼拝に参加する方がマシだなと、祈りながら溜め息をついた。

「ジュリ様?」

礼拝が終わり、部屋に帰ろうとしたところをリブラに呼び止められた。

「これ、聖女様の衣装を揃えておきましたよ?」

手渡されたのは木で作った箱に、丁寧に入れられた衣装。
出して広げてみると、白く薄い布が幾重にも重なり、裾は引き摺るほど長い。
どう見ても動きにくそうな仕立てに私はゲンナリした。

「なんか寒そうな衣装よね?これ、着ないとダメ?」

「出来れば……まぁでも、式典の時以外は何でもいいですけどね……ですが……」

リブラは私の全身を見て首を振った。

「その……今の御衣装は……あまり宜しくないですね……」

「えっ。これ?ダメ?」

『聖フィオーナ学園アーチェリー部』と書かれた黒のジャージのポケットに手を突っ込み、私はおどけて見せた。
だって、部活の途中だったんだから仕方ないでしょ!
こっちに来るって知ってたら、せめて制服にしておいたのに!

「聖女様ですので、せめて裾の長いもので……」

「そう?でも、これしかないから……普段着れるような地味な……リブラが着てるようなローブはないの?」

「神官衣で構わないならいくつかありますよ?聖女様の衣装の上から羽織ります?」

「そうします」

まぁ、ジャージは寝間着にしよう。
寝るときはジャージが楽だしね!
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