人生の続きを聖女として始めます
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「これでいい。いくらかまともになったはずだ」

「うん、ありがと」

エスコルピオが採寸し直し、縫い直した聖女の衣装を私は試着した。
胸がスカスカしていたのは適度に詰めて、やたら長かった丈は踝までになっている。
動かしにくかった脇の部分も私に合わせてゆったり調整された。

「お前は細身なのだな。あと手足が長い」

「そう?」

私は標準だと思うけど、聖女の採寸を見ると確かに少しこちらの基準とは違うみたいだ。
でも、マデリンだった時も今とそんなに変わらない体型だったような?
この世界の基準が豊満体型なら、マデリンて貧相だったのね。
田舎にいたからわからなかったけど。

「そういう方の服を仕立てるのは慣れている……」

「慣れてるの?すごいね。お裁縫も、お茶も……エスコルピオって、何でも出来るよね?」

「………まぁ。な」

鉄仮面は鏡台の椅子に腰かけそっぽを向いた。
だけど、見えてる口元がすこし緩んでいて、照れているのがバレバレだ。
うん、今しかない。
かつてない、いい雰囲気の中に私達はいる。
これを逃すと聞けないかもしれない、と、私は意を決して尋ねた。
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