人生の続きを聖女として始めます
「ねぇ、女の子の部屋に勝手に入るってどういうこと?」

………本当に聞きたいことはこれじゃない。
だけど、直球はマズイ、と私の勘が告げているので、やんわりと外側から攻めていく作戦である。

「うっ………………」

わかりやすい………。
エスコルピオはヤバイと思ってるのか、つけている鉄仮面の下から汗をかいた。
大丈夫?蒸れて痒くなりそうだけど?

「私は……殿下の安全の為に……聖女の監視もしているのだ!まだ、信用ならんからな!」

「へぇー………監視の為に忍びこむんだー……本当は変な気を起こしたんじゃないのー?」

ニヤリと口元に手を当て、エスコルピオをつつくと、鉄仮面から更に倍の汗が垂れた。

「そんなことはない!あるわけがないだろう!!」

「ふぅーん、あっそ」

よし、エスコルピオがダメージを負っている間に本題を切り出そうか?
どうしてあんな物騒な殺気を放っていたのか……それをどうしても確かめたい!

「エスコルピオ、あのね……」

「しっ!!」

突然エスコルピオが会話を遮った。
そして、唇に人差し指をあて耳をすます。
ハッとしたと思った次の瞬間、鏡台の椅子から音もなく立ち上がると、扉へ走りさっと廊下に躍りでた。
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