人生の続きを聖女として始めます
「レーヴェは武芸をしたいの?」

話に横から割って入ってしまい、ちょっと後悔したけど、レーヴェもエスコルピオも不快な顔はしなかった。

「はい。そこまで強くなりたいというわけではないんです。でも、大切な人を守れるくらいにはなりたい。それだけなんです」

「殿下……」

エスコルピオは何かを思い出したように、一瞬遠くの木立に目をやった。

「剣がダメなら、弓はどう?対人じゃないし、ケガをする確率も低いわよ?」

「えっ!?」

また2人は同時に叫び、そして、レーヴェは目を輝かせて言った。

「ひょっとして、お母様が教えてくれるのですか?」

「いいよ。エスコルピオがいいって言ったらね?」

その言葉が終わる前に、レーヴェはエスコルピオの胸元をがっしり掴んだ。

「エスコルピオ!?いいよね?剣じゃないし!いいよね?」

「……い、いや……それは……なんとも……」

「いいよね?」

レーヴェは首を傾げて可愛らしく言った。

「…………………いや……」

それでも、歯切れの悪いエスコルピオにとうとうレーヴェが叫んだ。

「いいよねっ!?」

「……………は、はぁ……」

エスコルピオは胸元を掴まれたまま、ため息混じりに呟いた。
そして、レーヴェは勝者らしく満面の笑みを浮かべて私を見ると、直ぐ様横に来てこう言った。

「早速やりましょう!お母様!」
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