人生の続きを聖女として始めます
「お母様!僕は父上様より凄いらしいです!」

「ふふっ!ね?言った通りでしょ?」

「はい!!もっと練習して絶対すぐに的に当ててみせますからね!」

俄然やる気を取りもどしたレーヴェは、もう一度構え深く息をしながら矢をつがえる。
その姿を見ていた私の所にガブリエラが近付いてきて横に並んだ。

「レーヴェ殿下はジュリ様がとてもお好きなようだ」

「はい。恐れ多いことですが……」

「なんの!それもジュリ様のお人柄の成せる業!用心深い殿下やエスコルピオが無条件で信用するならば、その心根の美しいことはわかります」

ガブリエラは軽くウィンクをして見せた。

「レーヴェは……用心深いんですか?すみません、そうは見えなかったので……」

レーヴェは最初から人懐っこかった。それを見ているから、ガブリエラの話はどうもピンと来ない。

「……この王宮で、殿下が心を許せるのはエスコルピオとリブラや神官たち、あと私や近衛隊くらいのものでしょうか……」

「え!?それは……」

私の声が少し大きくなったのを、ガブリエラが制した。
そして、人差し指を唇に当て、レーヴェの様子を伺いながら注意深く語りだした。
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