人生の続きを聖女として始めます
「ジュリ様、申し訳ありません。お喋りが過ぎました……ですが……これだけは言わせて下さい。貴女がエルナダに降臨し、獅子王陛下の聖なる妃になってくれることを私達全てが望んでいるのです」

「聖なる妃だなんて!」

怒りが治まらない私は憤慨して言った。
レーヴェを守ってもくれない男の妃になるなんて冗談じゃない!

「陛下を絶望と悲しみから解放出来るのは聖女……貴女だけなのです。そして予言の通りになればきっと陛下は救われる……私と私の旧友はそう信じているのです」

ガブリエラは、まるで彼方にいる誰かを思い出すように儚く微笑みそのまま私を見た。
絶望と悲しみ?
ルリオンには何かトラウマでもあるの?

「予言って……あのむちゃくちゃなやつですよね?獅子王に愛されろっていう……」

「まぁ……いろんな解釈がありますから……」

ガブリエラは言葉を濁した。
きっと、彼女にも予言自体が良くわかってないのかもしれない。
リブラや神官だって詳しいことは言わなかったし、わからないけど妃にしとけば上手くいくんじゃない?と思っているのかも……。
だけど、私がルリオンを救う聖女だとしても、それよりも大切な使命がある。
この王宮で、命を狙われているレーヴェを守らなくては!
もう2度と、私はレーヴェの手を離したりしない!
シングルマザー上等よっ!
そう心に決めた時、にわかに王宮内が騒がしくなった。
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