人生の続きを聖女として始めます
王宮に入ると、正面でガブリエラが待ち構えていた。
彼女は、古参でありオレを恐れずに話しかけてくる数少ない存在である。
「お帰りなさいませ、陛下」
「ああ……」
「その御様子では、バートラムはまた逃げたのですね」
オレの表情を読み、ガブリエラは辛そうに言った。
ガブリエラ・ヒューイット国務大臣とバートラム・スタンフォード元国防大臣は、昔からの知り合いである。
バートラムがスパイ疑惑をかけられて逃亡する際、あろうことか奴はガブリエラを刺して逃げた。
そのことをガブリエラはまだ悔やんでいる。
自分がバートラムを逃がしたことが、世界を混乱させる要因になったからだ。
「各国への密偵を増やします。国境の警備も3倍に致しましょう。もうあやつの好きにはさせません」
「そうだな。次はない」
オレは馬を降り、ガブリエラとロシュ、ドレイクを引き連れて執務室に向かった。
そこでいつもと違うことに気付いた。
「エスコルピオはどこだ?」
真っ先に顔を見せる男が、今日に限って姿がない。
帰還の知らせは随分前に届いているはずだから、忘れているということではないだろう。
「ああ!エスコルピオ殿ならレーヴェ殿下と聖女様と共に弓の練習場にいらっしゃいましたよ?」
「は……なんだと?」
オレは立ち止まってガブリエラを振り返った。
「どうかされましたか?」
「聖女はまだいるのか?」
その質問にガブリエラは怪訝な顔をし、隣でロシュが頭を抱えた。
「その質問は、まるで無事でいるのが信じられない……というように聞こえましたが」
ガブリエラの眉がぴくっと上がった。
彼女は、古参でありオレを恐れずに話しかけてくる数少ない存在である。
「お帰りなさいませ、陛下」
「ああ……」
「その御様子では、バートラムはまた逃げたのですね」
オレの表情を読み、ガブリエラは辛そうに言った。
ガブリエラ・ヒューイット国務大臣とバートラム・スタンフォード元国防大臣は、昔からの知り合いである。
バートラムがスパイ疑惑をかけられて逃亡する際、あろうことか奴はガブリエラを刺して逃げた。
そのことをガブリエラはまだ悔やんでいる。
自分がバートラムを逃がしたことが、世界を混乱させる要因になったからだ。
「各国への密偵を増やします。国境の警備も3倍に致しましょう。もうあやつの好きにはさせません」
「そうだな。次はない」
オレは馬を降り、ガブリエラとロシュ、ドレイクを引き連れて執務室に向かった。
そこでいつもと違うことに気付いた。
「エスコルピオはどこだ?」
真っ先に顔を見せる男が、今日に限って姿がない。
帰還の知らせは随分前に届いているはずだから、忘れているということではないだろう。
「ああ!エスコルピオ殿ならレーヴェ殿下と聖女様と共に弓の練習場にいらっしゃいましたよ?」
「は……なんだと?」
オレは立ち止まってガブリエラを振り返った。
「どうかされましたか?」
「聖女はまだいるのか?」
その質問にガブリエラは怪訝な顔をし、隣でロシュが頭を抱えた。
「その質問は、まるで無事でいるのが信じられない……というように聞こえましたが」
ガブリエラの眉がぴくっと上がった。