人生の続きを聖女として始めます
その後をレーヴェと手を繋いで歩きながら、さっき話に出た「バートラム」という名前を反芻している。
その名前をどこかで聞いたと思っていた。
マデリンだった頃、どこかで……。
監獄塔、子爵邸、特別室と、あらゆる記憶を引っ張り出してその名前を探してみる。
……そして、ついに思い出した。
「バートラム・スタンフォード……」
思わず立ち止まり呟いた。
レーヴェがいきなり立ち止まる私をいぶかしんで見上げている。
「お母様?どうかしましたか?」
「……ううん!なんでもない!行こうか?」
「はい」
レーヴェはニッコリ微笑むと、私の手をキュッと握り直した。
確かまだ赤子の頃にレーヴェも会っているはずだ。
父や私や、レーヴェまでもを侮辱したあの嫌味な男……その名がバートラムだった。
突然やって来て、愛する夫レグルスを連れ去った……その時の悲しみはまだ私の胸に燻り続けている。
レグルスが自ら去ったのか、強引に連れて行かれたのかは今となってはわからないけど、どちらにしろバートラムが来なければ、レグルスはいなくなることはなかったのだ。
つまり私にとってのバートラム・スタンフォードは疫病神でしかなく、その男が獅子王に追われているとすれば、当然のことだろうと思った。
きっとそれなりの悪事を働いたんだ。
どこまでも追われるくらいの罪を重ねたに違いない。
その名前をどこかで聞いたと思っていた。
マデリンだった頃、どこかで……。
監獄塔、子爵邸、特別室と、あらゆる記憶を引っ張り出してその名前を探してみる。
……そして、ついに思い出した。
「バートラム・スタンフォード……」
思わず立ち止まり呟いた。
レーヴェがいきなり立ち止まる私をいぶかしんで見上げている。
「お母様?どうかしましたか?」
「……ううん!なんでもない!行こうか?」
「はい」
レーヴェはニッコリ微笑むと、私の手をキュッと握り直した。
確かまだ赤子の頃にレーヴェも会っているはずだ。
父や私や、レーヴェまでもを侮辱したあの嫌味な男……その名がバートラムだった。
突然やって来て、愛する夫レグルスを連れ去った……その時の悲しみはまだ私の胸に燻り続けている。
レグルスが自ら去ったのか、強引に連れて行かれたのかは今となってはわからないけど、どちらにしろバートラムが来なければ、レグルスはいなくなることはなかったのだ。
つまり私にとってのバートラム・スタンフォードは疫病神でしかなく、その男が獅子王に追われているとすれば、当然のことだろうと思った。
きっとそれなりの悪事を働いたんだ。
どこまでも追われるくらいの罪を重ねたに違いない。