人生の続きを聖女として始めます
「レーヴェ殿下もそのようなニセ聖女にまとわりついてないで、私と仲良く致しましょう?」

「はははっ!ニセ聖女とはな。お前もなかなか言うじゃないか!」

獅子王はビクトリアに向かってニコリと笑った。
なるほど。
どうも、獅子王にとってもビクトリアにとっても聖女(私)はお呼びでないということですね?
まぁ、こちらとしても願ったり叶ったりなんですけど、レーヴェといられなくなるのは困る、ええ、かなり困る。
ここは、すごくイヤだけど獅子王に媚びでも売って、取り入ろうかな?
思案顔の私の側では、ガブリエラが眉間に深いシワを寄せ、リブラは真っ赤になって怒っている。
そして、私達をやり込めたと思ったビクトリアは、その手をレーヴェに伸ばした。

「さぁ、殿下!こちらへ来なさい!」

レーヴェはさっと後ろに身を隠し、震えながら私の袖をきつく掴んだ。
その瞬間、パチン!と、辺りに軽い音が響く。
ビクトリアの伸ばした手を、私がはね除けたのだ。

「レーヴェに触らないで下さい!」

途端に静寂に包まれる大広間。
誰もがその光景に目を疑ったようだ。
やってしまった……と思ったけど、ビクトリアがレーヴェに触れるかと思うと我慢なんて出来ない!

「な、な………何をするの!?あなた何をしたかわかっているの?私は陛下の寵愛を受けた妃ですよ!?」

ビクトリアは真っ赤になって叫び、隣で獅子王は目を剥いた。
ロシュとドレイクは何故か少し笑っていて、ガブリエラからもクスッという軽い笑いが漏れた。

「そんなこと私に関係ありません。この国の人間ではないので。あなたが誰であろうとね?」

「生意気な!ニセ聖女のクセに!!」

「あははっ!ニセね!そうかもね!あー、そう言えば自己紹介がまだでしたね!ごめんなさい。私、木嶋樹里といいます。聖フィオーナのアーチェリー部に所属している高校2年生です、どーぞよろしく」

「え、え、えっ?な、なんですって?」

早口で捲し立てたため、ビクトリアには話の内容が理解できなかったようだ。
ただ、聞こえたとしても内容が理解出来るとは思わないけどね。
ビクトリアは、パンパンに膨らんだ顔を更に膨らませて怒っている。
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