人生の続きを聖女として始めます

密談(ガブリエラ)

ーーーーエルナダ王宮 国務大臣室

予言の聖女が獅子王と出会ったその夜、私とロシュ、サウザー卿は国務大臣室で密談した。
あの憎しみと絶望に凝り固まった獅子王を救うのに聖女が相応しいかどうか、それを2人に聞きたかったのだ。

「さて、各々方。例の件についての意見を聞かせてもらおうか?まず、ロシュ坊や」

座り心地のよい椅子にどっかりと腰を下ろしたロシュに私は問いかける。

「そろそろ、坊やは止めてほしいんだけど?ま、いいや。そうだな、可愛いと思う!」

「……お前……そういうことではなかろう?ガブリエラ様は人柄のことを聞いているのではないか?」

サウザー卿はため息をついた。

「うーんじゃあ、威勢がいい!ビクトリアをやり込めるところなんかゾクゾクしたよ!それに、なんといっても獅子王の前で物怖じしないのが最高にイカしてる!」

「私も同意だ。極め付きはレーヴェ殿下に対する愛情の深さ。まるで、聖母ではないか」

ロシュとサウザー卿は顔を見合せて頷いた。
そうなのだ。
聖女、ジュリ様はことのほかレーヴェ殿下を可愛がっている。
それに、殿下も彼女を慕っている。
この王宮で、大人しく隠れるように生きていた殿下が、あんなに楽しそうにしている姿を私は初めて見た。
故にジュリ様とレーヴェ殿下が本当親子のように見えていたのだ。
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