人生の続きを聖女として始めます
「それにもう一つ……エスコルピオが獅子王の命に背いて、聖女を守ってるなんて前代未聞だ。あの復讐鬼がだぞ!」
「ああ。これは何かあろうな。聖女の為せる業か、はたまた妖術の類い……あるいは……」
「あるいは?何だよ?」
サウザー卿はロシュの問いには答えず何かを考え込み、腕を組んだ。
沈黙が一時続き、やがて彼は言った。
「神の起こした奇跡……か」
「……なんだそれ?意味がわからん」
「サウザー卿、私も理解出来ないんだが……」
私は首を傾げつつ尋ねた。
「ガブリエラ様、あなたは御存知ないだろうがラ・ロイエにいた頃、今と同じようなエスコルピオの姿を私は見ている」
「あっ!!マデリンか!?」
ロシュが叫んだ。
マデリン……それは、王宮で口に出してはいけない名前だ。
5年前にバートラムが引き起こした最悪の事件……世間には伏せられた子爵家惨殺事件の被害者だ。
この事件は、当時の関係者全員に消えない傷を残した。
私にも……ロシュにもサウザー卿にも。
そして、もちろんエスコルピオと獅子王にもだ。
「マデリン・ソーントン……彼女が何か関係を?」
私にはさっぱりわからなかったが、ロシュとサウザー卿には思い当たる節があるらしい。
「今夜の祝宴で、エスコルピオが聖女の後ろから出てきたとき、私は一瞬目を疑った。背後の聖女が、マデリン嬢に見えてな」
「俺もだ……不思議だよな……」
「まさか、君達は2人揃って、聖女はマデリン嬢だというおかしなことを言うんじゃあるまいね?」
「ああ。これは何かあろうな。聖女の為せる業か、はたまた妖術の類い……あるいは……」
「あるいは?何だよ?」
サウザー卿はロシュの問いには答えず何かを考え込み、腕を組んだ。
沈黙が一時続き、やがて彼は言った。
「神の起こした奇跡……か」
「……なんだそれ?意味がわからん」
「サウザー卿、私も理解出来ないんだが……」
私は首を傾げつつ尋ねた。
「ガブリエラ様、あなたは御存知ないだろうがラ・ロイエにいた頃、今と同じようなエスコルピオの姿を私は見ている」
「あっ!!マデリンか!?」
ロシュが叫んだ。
マデリン……それは、王宮で口に出してはいけない名前だ。
5年前にバートラムが引き起こした最悪の事件……世間には伏せられた子爵家惨殺事件の被害者だ。
この事件は、当時の関係者全員に消えない傷を残した。
私にも……ロシュにもサウザー卿にも。
そして、もちろんエスコルピオと獅子王にもだ。
「マデリン・ソーントン……彼女が何か関係を?」
私にはさっぱりわからなかったが、ロシュとサウザー卿には思い当たる節があるらしい。
「今夜の祝宴で、エスコルピオが聖女の後ろから出てきたとき、私は一瞬目を疑った。背後の聖女が、マデリン嬢に見えてな」
「俺もだ……不思議だよな……」
「まさか、君達は2人揃って、聖女はマデリン嬢だというおかしなことを言うんじゃあるまいね?」