人生の続きを聖女として始めます
チェス
明け方、まだ薄暗い南館の中庭を私はふらっと散歩をしていた。
レーヴェと一緒にベッドに入ったものの、何だかイライラする気持ちが収まらなくて結局一睡も出来ていない。
その原因はきっとあの獅子王のせいだと思う。
レグルスと同じ顔で、ビクトリアなんかとイチャイチャしちゃって、昨日の夜もどうせ一緒だったんでしょうね!
お熱い夜を過ごしたにちがいないわっ!
中庭の美しい花も、刈り込まれた見事な緑の垣根も私の目には入ってこなかった。
思い出すのは昨日の夜、砲丸のような体のビクトリアに笑いかける獅子王の姿だ。
あれはレグルスじゃない!頭ではそうわかっているのに、心はどうしても傷んだ。
もうやだ、何かさっぱり忘れられることはないかな?
そう思い中庭から王宮のテラスへと移動すると、そこには男が2人、向かい合って座っている。
こんな朝から何してるんだろ?
私は音を立てずにゆっくりと近付き、植え込みに隠れ様子を窺った。
「ふふ、詰んだぞ」
「くっそ!またかよっ?」
「読みが甘いのだ。同じ間違いをこの間もしたぞ?」
「あーーもーー調子悪い、三連敗だ」
バラバラと何かを倒すような音がして、こちら側に座る男が大きく背伸びをし反り返る。
その瞬間、男の反った顔と、植え込みに隠れた私の顔はバッチリ合ってしまった。
「お?聖女様?」
その男はロシュだ。
彼は反って反対になったまま、にこやかに手を振った。
「おはようございます。お早いですな。こんなところでどうされたのかな?」
ロシュの向かいにいたのはドレイクで、長い艶やかな黒髪を横に束ね優雅に座っていた。
レーヴェと一緒にベッドに入ったものの、何だかイライラする気持ちが収まらなくて結局一睡も出来ていない。
その原因はきっとあの獅子王のせいだと思う。
レグルスと同じ顔で、ビクトリアなんかとイチャイチャしちゃって、昨日の夜もどうせ一緒だったんでしょうね!
お熱い夜を過ごしたにちがいないわっ!
中庭の美しい花も、刈り込まれた見事な緑の垣根も私の目には入ってこなかった。
思い出すのは昨日の夜、砲丸のような体のビクトリアに笑いかける獅子王の姿だ。
あれはレグルスじゃない!頭ではそうわかっているのに、心はどうしても傷んだ。
もうやだ、何かさっぱり忘れられることはないかな?
そう思い中庭から王宮のテラスへと移動すると、そこには男が2人、向かい合って座っている。
こんな朝から何してるんだろ?
私は音を立てずにゆっくりと近付き、植え込みに隠れ様子を窺った。
「ふふ、詰んだぞ」
「くっそ!またかよっ?」
「読みが甘いのだ。同じ間違いをこの間もしたぞ?」
「あーーもーー調子悪い、三連敗だ」
バラバラと何かを倒すような音がして、こちら側に座る男が大きく背伸びをし反り返る。
その瞬間、男の反った顔と、植え込みに隠れた私の顔はバッチリ合ってしまった。
「お?聖女様?」
その男はロシュだ。
彼は反って反対になったまま、にこやかに手を振った。
「おはようございます。お早いですな。こんなところでどうされたのかな?」
ロシュの向かいにいたのはドレイクで、長い艶やかな黒髪を横に束ね優雅に座っていた。