人生の続きを聖女として始めます
少し明るくなってきた王宮テラスでは、私とドレイクの白熱した戦いが続いている。
ドレイクの指す手は、堅実なものが多いと昔から思っていた。
それとは真逆にロシュはトリッキーで、思わぬ手を指してくるのが特徴。
この2人では、堅実なドレイクの勝率がどうしても上だけど、その四角四面な手筋は一度覚えてしまえば阻む手も多いのだ。
「あっ……いや……それは……」
「ふふっ、閣下?待ったは無しですよ」
「……うっ……うむ」
私の指す手に、ドレイクの勢いが段々と弱まる。
彼の手筋の内の一つ、あの頃最も得意とした戦法は一番最初に私、マデリンが覚えた手筋だ。
それを使って聖女をやっつけようと思ったみたいだけど、残念ながら、一番良く知ってる手筋だから防ぐ方法もよーくわかっているのよ?
「やるなぁ……」
隣で見ていたロシュが呟いた。
「いえ、まぐれですよ?たまたま、勝てているだけです」
「まぐれ?まぐれでこの手が返せるのか?これは……この手筋は……」
「ロシュ、うるさい。黙れ」
とうとうドレイクは本気になって考え始めた。
肩を竦めて黙ったロシュが、何を言おうとしたかを私はわかっている。
この手筋はロシュがドレイクをやり込めたときの手筋だからだ。
「どうしてこの手筋が……」
ドレイクは独り言のように言った。
「これを思い付くのは、ロシュくらいだと思っていたが……」
その通りです。と、私は心の中で答えた。
「だろ?必勝のお前の手筋をどうにか崩してやろうと寝ずに考えた手だぞ?それをこんなに簡単に……まるで知ってたかのようだ」
ロシュが訝しげに覗き込んでくるのを、私はニコリと笑って軽くいなした。
あなた達が戦ってるのをずっと見ていたからよ?
と、言いたくても言えないのは、こんな馬鹿げた話信じてもらえないと思っているからだ。
一度死んで違う世界に転生し、また5年後の元の世界に帰って来ましたーなんて、誰が信じるっていうの?
言ってすんなり事が運ぶならいいけど、絶対変人奇人扱いされるに決まってる。
ロシュは暫くそうして私を見ていたけど、やがて諦めてチェス盤に目を向け言った。
ドレイクの指す手は、堅実なものが多いと昔から思っていた。
それとは真逆にロシュはトリッキーで、思わぬ手を指してくるのが特徴。
この2人では、堅実なドレイクの勝率がどうしても上だけど、その四角四面な手筋は一度覚えてしまえば阻む手も多いのだ。
「あっ……いや……それは……」
「ふふっ、閣下?待ったは無しですよ」
「……うっ……うむ」
私の指す手に、ドレイクの勢いが段々と弱まる。
彼の手筋の内の一つ、あの頃最も得意とした戦法は一番最初に私、マデリンが覚えた手筋だ。
それを使って聖女をやっつけようと思ったみたいだけど、残念ながら、一番良く知ってる手筋だから防ぐ方法もよーくわかっているのよ?
「やるなぁ……」
隣で見ていたロシュが呟いた。
「いえ、まぐれですよ?たまたま、勝てているだけです」
「まぐれ?まぐれでこの手が返せるのか?これは……この手筋は……」
「ロシュ、うるさい。黙れ」
とうとうドレイクは本気になって考え始めた。
肩を竦めて黙ったロシュが、何を言おうとしたかを私はわかっている。
この手筋はロシュがドレイクをやり込めたときの手筋だからだ。
「どうしてこの手筋が……」
ドレイクは独り言のように言った。
「これを思い付くのは、ロシュくらいだと思っていたが……」
その通りです。と、私は心の中で答えた。
「だろ?必勝のお前の手筋をどうにか崩してやろうと寝ずに考えた手だぞ?それをこんなに簡単に……まるで知ってたかのようだ」
ロシュが訝しげに覗き込んでくるのを、私はニコリと笑って軽くいなした。
あなた達が戦ってるのをずっと見ていたからよ?
と、言いたくても言えないのは、こんな馬鹿げた話信じてもらえないと思っているからだ。
一度死んで違う世界に転生し、また5年後の元の世界に帰って来ましたーなんて、誰が信じるっていうの?
言ってすんなり事が運ぶならいいけど、絶対変人奇人扱いされるに決まってる。
ロシュは暫くそうして私を見ていたけど、やがて諦めてチェス盤に目を向け言った。