人生の続きを聖女として始めます
「大変有意義な時間でした。聖女様は……ジュリ様は卓越した頭脳をお持ちですな」

「卓越した頭脳!?いいえ、普通です!」

ドレイクの勘違いも甚だしい言葉に私はぶんぶんと首を振った。
中の下の成績の私に、卓越した頭脳なんて嫌みとしか思えない。
でも、ドレイクがそんなこと言う人じゃないのも知っている。

「普通だなんて御謙遜を。そうだ、ジュリ様、ぜひ軍議に加わって頂きたいのですが」

「え、いやそんな暇は……レーヴェ、そうだ、レーヴェの稽古もありますし、神殿のお祈りもあるので」

「大丈夫。その合間にするから!」

ロシュが飄々と言う。

「いや。あの。そういうことではなくて……あっ!神殿部は政治とは切り離されてるんでしょう?だったら私は関われないのでは!?」

昨日リブラが言ってたわよね!
お願いだからこれでもう引き下がって?
軍議になんて出ようものなら、獅子王の側にいかなきゃならない!
私はもう中腰で隙あらば逃げようという姿勢だ。
そんな心はお見通しなのか、ロシュが腕をガッチリ捉え、フフフと意地悪な顔をした。

「それは心配ない!実際リブラの前の大神官はエルナダの三大老としてガブリエラと肩を並べてたんだ!大神官が辞めてしまって政治に拘わらなくなったから、ガブリエラがそういう規定にしただけでね?」

「……待ってよ。つまり、それって、ガブリエラの気持ち一つ、てこと?」

「そう!」

ああーー……。
何だかやけに納得してしまった。
だから昨日リブラを後押し出来たんだわ。
かなりの職権乱用ね、この国、大丈夫なの!?
最早逃げることが出来なさそうな気配に、私はガクンと項垂れた。
反対にロシュとドレイクは満足そうに頷き、どこか楽しそうでもあった。
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