嫁入り契約~御曹司は新妻を独占したい~
「一緒にホテルにいらっしゃったり、親密そうだなって……」
「そんなことを気にしているのですか」
私の気持ちを蔑ろにするようなことをさらりと言って、長瀬さんは前を向いた。
「そそ、そんなこと、って……!」
「あなたは、社長のことを誤解してらっしゃると思います」
「ご、誤解?」
「社長は茅部さんが思ってる以上に、茅部さんのことを考えています」
「……っ」
そんなこと、今更言われても……。
次のインターで高速を降りる頃には、空が赤紫に染められていた。
民家が少ない道を走らせ、緑に囲まれた森を抜けると、平原が広がる一帯に出た。
舗装された道は終わり、あぜ道のような細い道を徐行する。
やがて、大きな木製の看板が否応なく視界に入った。
【春日井ファーム】と書かれている。
ビニールハウスが並ぶ脇の道を慎重に走り、車はログハウスの前の駐車場に停まった。
「お疲れ様でした」
疲れているのはずっと運転していた長瀬さんの方だと思うんだけど、彼はテキパキと車を降り、後部座席のドアを開けてくれた。
「いえ……ありがとうございます」
眩しい西日に目陰をさして周囲を見渡すと、手を振って、こちらに駆け寄って来る人物の姿が見てた。
「おーい、一華ちゃん!」
高原にとてもじゃないけど似つかわしくない、ビシッと決まったスーツ姿に革靴の芳樹社長は、私と長瀬さんの前で息を切らして止まった。
「一華ちゃんも連れて来られたの?」
「え、はい……」
なぜここに連れて来られたのか、この状況がまったく飲み込めない私が曖昧に頷くと、芳樹社長が私の背中に手をあてて誘導した。
「そんなことを気にしているのですか」
私の気持ちを蔑ろにするようなことをさらりと言って、長瀬さんは前を向いた。
「そそ、そんなこと、って……!」
「あなたは、社長のことを誤解してらっしゃると思います」
「ご、誤解?」
「社長は茅部さんが思ってる以上に、茅部さんのことを考えています」
「……っ」
そんなこと、今更言われても……。
次のインターで高速を降りる頃には、空が赤紫に染められていた。
民家が少ない道を走らせ、緑に囲まれた森を抜けると、平原が広がる一帯に出た。
舗装された道は終わり、あぜ道のような細い道を徐行する。
やがて、大きな木製の看板が否応なく視界に入った。
【春日井ファーム】と書かれている。
ビニールハウスが並ぶ脇の道を慎重に走り、車はログハウスの前の駐車場に停まった。
「お疲れ様でした」
疲れているのはずっと運転していた長瀬さんの方だと思うんだけど、彼はテキパキと車を降り、後部座席のドアを開けてくれた。
「いえ……ありがとうございます」
眩しい西日に目陰をさして周囲を見渡すと、手を振って、こちらに駆け寄って来る人物の姿が見てた。
「おーい、一華ちゃん!」
高原にとてもじゃないけど似つかわしくない、ビシッと決まったスーツ姿に革靴の芳樹社長は、私と長瀬さんの前で息を切らして止まった。
「一華ちゃんも連れて来られたの?」
「え、はい……」
なぜここに連れて来られたのか、この状況がまったく飲み込めない私が曖昧に頷くと、芳樹社長が私の背中に手をあてて誘導した。