嫁入り契約~御曹司は新妻を独占したい~
「あの……聞き間違いだと思うのですが、今、結婚? とか、聞こえたような……」
「ああ。そう言った」
ぱちくりと瞬きをする私は、体も心も浮遊してるような、生きた心地のしない感覚に陥った。
「俺と君は、結婚する」
頭と思考が追いつかず、ふわふわとさせる私に、薫社長は今度は断定的に言った。
私と社長が結婚、って……。
はい?
「ど、どういうことでしょう」
途方に暮れた声と、息が一緒に唇から漏れた。
「どういうこと、って。昨日話した落としどころを見つけたまでだ」
「お、落としどころが、結婚……?」
しかも社長と?
そんなバカな……。
混乱して止まない私の虚ろな目に、薫社長の凛とした双眸が映る。
「俺はわけあって結婚を急いでいる。その相手に、君は非常に都合がいい」
そ、それは……。
ちょうど就業規則違反という弱みを握ってるから、ってことだろうか?
「失礼だとは思ったが、君の経済状況を調べさせてもらったよ」
「え! し、調べた、って……」
た、たった一日……いや、半日で⁉︎
「お母様の男性関係には随分と苦労されたようだね」
なんの躊躇いもなく、薫社長は淡々と言う。
「お陰で君が結婚に抱く憧憬はかなり低いものと推察するが、違うか?」
「……っ」
お母さんや家族を悪く言われたみたいな気がして、すごく嫌悪を感じた。
たしかに、全部合ってるけど……。
それでも困ってる人を見過ごせない母は情に熱い人だと思う。
私も、身寄りのない風太を放ってはおけない。
「ああ。そう言った」
ぱちくりと瞬きをする私は、体も心も浮遊してるような、生きた心地のしない感覚に陥った。
「俺と君は、結婚する」
頭と思考が追いつかず、ふわふわとさせる私に、薫社長は今度は断定的に言った。
私と社長が結婚、って……。
はい?
「ど、どういうことでしょう」
途方に暮れた声と、息が一緒に唇から漏れた。
「どういうこと、って。昨日話した落としどころを見つけたまでだ」
「お、落としどころが、結婚……?」
しかも社長と?
そんなバカな……。
混乱して止まない私の虚ろな目に、薫社長の凛とした双眸が映る。
「俺はわけあって結婚を急いでいる。その相手に、君は非常に都合がいい」
そ、それは……。
ちょうど就業規則違反という弱みを握ってるから、ってことだろうか?
「失礼だとは思ったが、君の経済状況を調べさせてもらったよ」
「え! し、調べた、って……」
た、たった一日……いや、半日で⁉︎
「お母様の男性関係には随分と苦労されたようだね」
なんの躊躇いもなく、薫社長は淡々と言う。
「お陰で君が結婚に抱く憧憬はかなり低いものと推察するが、違うか?」
「……っ」
お母さんや家族を悪く言われたみたいな気がして、すごく嫌悪を感じた。
たしかに、全部合ってるけど……。
それでも困ってる人を見過ごせない母は情に熱い人だと思う。
私も、身寄りのない風太を放ってはおけない。