嫁入り契約~御曹司は新妻を独占したい~
◯
週末、私は引っ越すことになった。
婚姻関係の証明のために同居は必然だいうことで、薫社長のお宅に居候する。
引っ越しは長瀬さんがすべて手配してくれて、荷物は少ないためトントン拍子で物事は進んだ。
空になった四畳半の和室を見て、すごく感傷的 な気分になった。
「今度からは風太が一人部屋使えるからね! ちゃんと自分で掃除するんだよ」
明るく言ったつもりだったけど、風太は最後まで、口を真一文字に結んでた。
顔を真っ赤にして、言いたいことを我慢するような表情に、胸が痛くなった。
「もっと、ちゃんと話したかったな……」
でも、その希望は胸に秘めておこう。
いつか、この選択が致し方なかったと分かってくれたらいい。
……ううん、分かってもらえなくてもいい。
私はなによりも、風太の幸せを願ってる。
単身用の引っ越しのトラックの後ろを、長瀬さんが運転する高級外車が走る。
私は先日と同じように、後部座席に乗せてもらった。
薫社長が暮らしているのは、コンシェルジュが常駐する高級マンション。
ある程度予想はしてたけど、床はふかふかの踏み心地、シャンデリアは光がこぼれ落ちそうに輝いていて、高級ホテルのロビーのようだった。
薫社長の部屋がある階へエレベーターで昇る。
高いところにあまり縁がないので、上昇するごとに心臓が早鐘を打つ。飛行機も乗ったことがない。
形ばかりの同居だとわかってはいるけど……。
ここに住むことに慣れる日なんて、来るのかなぁ。
週末、私は引っ越すことになった。
婚姻関係の証明のために同居は必然だいうことで、薫社長のお宅に居候する。
引っ越しは長瀬さんがすべて手配してくれて、荷物は少ないためトントン拍子で物事は進んだ。
空になった四畳半の和室を見て、すごく感傷的 な気分になった。
「今度からは風太が一人部屋使えるからね! ちゃんと自分で掃除するんだよ」
明るく言ったつもりだったけど、風太は最後まで、口を真一文字に結んでた。
顔を真っ赤にして、言いたいことを我慢するような表情に、胸が痛くなった。
「もっと、ちゃんと話したかったな……」
でも、その希望は胸に秘めておこう。
いつか、この選択が致し方なかったと分かってくれたらいい。
……ううん、分かってもらえなくてもいい。
私はなによりも、風太の幸せを願ってる。
単身用の引っ越しのトラックの後ろを、長瀬さんが運転する高級外車が走る。
私は先日と同じように、後部座席に乗せてもらった。
薫社長が暮らしているのは、コンシェルジュが常駐する高級マンション。
ある程度予想はしてたけど、床はふかふかの踏み心地、シャンデリアは光がこぼれ落ちそうに輝いていて、高級ホテルのロビーのようだった。
薫社長の部屋がある階へエレベーターで昇る。
高いところにあまり縁がないので、上昇するごとに心臓が早鐘を打つ。飛行機も乗ったことがない。
形ばかりの同居だとわかってはいるけど……。
ここに住むことに慣れる日なんて、来るのかなぁ。