嫁入り契約~御曹司は新妻を独占したい~
しかも壁一面が窓になってて、景色を一望できる。
昼間は遠くに凪いだ海の光景を、夜は都会の夜景が見えるなんて……。なんて贅沢なんだろう。きっと、ずっと見てても飽きないんだろうなぁ。
生活感があまりないシステムキッチンには最新家電が揃っていて、使い勝手がよさそうな対面式だった。
小さい頃からお母さんの代わりに炊事していた料理好きの身としては、ぜひとも一度は立ってみたい夢のような台所だ。
でも……。
契約妻の身だもの、勝手にそんなことしていいわけない。
私は与えられた一間で居候生活するただの同居人だ。
「ここはほんと、寝るためだけに帰ってくるようなものなんだ。家のものはなんでも好きに使って」
「えっ……」
い、いいの……?
目をぱちくりさせる私に、薫社長は事もなげに言った。
「部屋の片付け、手伝おうか?」
「い、いえ! 大丈夫です」
「そう? 重いものとか、移動させたい物があったら遠慮なく言って」
「は、はあ……」
なんか、思った感じと違う……。
もっとこう、同居って、さっぱりとしたものだと思っていた。
お互い干渉しないために共有スペースは時間を決めて使い、なるべく接触しないように配慮して暮らすものだとばかり思ってたんだけど……。
私のこと、気遣ってくれてるようだ。
あの高圧的で強引な、薫社長が。
「しゃ、社長。これからどうぞよろしくお願いします」
私は首を捻りたい気持ちを抑え、ぺこりと頭を下げた。
「ああ、よろしく」
短く即答した薫社長は、私がゆっくりと顔を上げるのを待ってから、こう言った。
「片付いたらどこか、食事にでも行こうか」
「へ⁉︎ いい一緒にですか⁉︎」
素っ頓狂な声が、広すぎるリビングによく反響する。
昼間は遠くに凪いだ海の光景を、夜は都会の夜景が見えるなんて……。なんて贅沢なんだろう。きっと、ずっと見てても飽きないんだろうなぁ。
生活感があまりないシステムキッチンには最新家電が揃っていて、使い勝手がよさそうな対面式だった。
小さい頃からお母さんの代わりに炊事していた料理好きの身としては、ぜひとも一度は立ってみたい夢のような台所だ。
でも……。
契約妻の身だもの、勝手にそんなことしていいわけない。
私は与えられた一間で居候生活するただの同居人だ。
「ここはほんと、寝るためだけに帰ってくるようなものなんだ。家のものはなんでも好きに使って」
「えっ……」
い、いいの……?
目をぱちくりさせる私に、薫社長は事もなげに言った。
「部屋の片付け、手伝おうか?」
「い、いえ! 大丈夫です」
「そう? 重いものとか、移動させたい物があったら遠慮なく言って」
「は、はあ……」
なんか、思った感じと違う……。
もっとこう、同居って、さっぱりとしたものだと思っていた。
お互い干渉しないために共有スペースは時間を決めて使い、なるべく接触しないように配慮して暮らすものだとばかり思ってたんだけど……。
私のこと、気遣ってくれてるようだ。
あの高圧的で強引な、薫社長が。
「しゃ、社長。これからどうぞよろしくお願いします」
私は首を捻りたい気持ちを抑え、ぺこりと頭を下げた。
「ああ、よろしく」
短く即答した薫社長は、私がゆっくりと顔を上げるのを待ってから、こう言った。
「片付いたらどこか、食事にでも行こうか」
「へ⁉︎ いい一緒にですか⁉︎」
素っ頓狂な声が、広すぎるリビングによく反響する。