嫁入り契約~御曹司は新妻を独占したい~
両手で顔を覆っても、ポロポロと汲めども尽きずに流れてくる涙を全部隠すことはできない。
しゃくりあげて泣く私の体に毛布を巻いて、薫さんは半身を支えて起こしてくれた。
「もしかして……初めてだった?」
もうここで隠しても仕方ないので、私は正直に頷いた。
「……俺の方こそ、ごめん。急ぎ過ぎた」
今までに聞いたことのない弱った声で言い、薫さんはクシャッと頭を掻く。
「すみません、もっと早く、言えば良かったんですけど……」
「いや、一華はなにも悪くない。謝ることなんてないよ」
……違う。
私は必死で首を振った。
家族は守りたい、でも一線を越えるのは……。
そんな私のわがままで中途半端な気持ちを謝罪したかった。
「こうしてるのは?」
かぶりを振り続ける私の動きを止めるように、薫さんは震える私の体を抱き寄せた。
さっきの手品のような動きとは正反対のぎこちない素振りで、すっぽりと真横から、包み込むように。
「これならいい?」
再度問われ、私はこくりと頷いた。
温かく、汗で湿った肌が触れ合う。
全身が脈打つように緊張するけど、薫さんの窺うような眼差しとか、気遣うような声色だとか、そういう醸し出される優しさに心が次第に落ち着いてゆく。
「なんだか私、ずっと緊張してて。頭の中がずっと薫さんでいっぱいだったんです」
白状したら急に肩の力が全部抜けて、顔の筋肉が弛緩する。
へらへらと泣きながら笑う変な顔の私を見て、薫さんはぱちっと目を大きく見開いた。
しゃくりあげて泣く私の体に毛布を巻いて、薫さんは半身を支えて起こしてくれた。
「もしかして……初めてだった?」
もうここで隠しても仕方ないので、私は正直に頷いた。
「……俺の方こそ、ごめん。急ぎ過ぎた」
今までに聞いたことのない弱った声で言い、薫さんはクシャッと頭を掻く。
「すみません、もっと早く、言えば良かったんですけど……」
「いや、一華はなにも悪くない。謝ることなんてないよ」
……違う。
私は必死で首を振った。
家族は守りたい、でも一線を越えるのは……。
そんな私のわがままで中途半端な気持ちを謝罪したかった。
「こうしてるのは?」
かぶりを振り続ける私の動きを止めるように、薫さんは震える私の体を抱き寄せた。
さっきの手品のような動きとは正反対のぎこちない素振りで、すっぽりと真横から、包み込むように。
「これならいい?」
再度問われ、私はこくりと頷いた。
温かく、汗で湿った肌が触れ合う。
全身が脈打つように緊張するけど、薫さんの窺うような眼差しとか、気遣うような声色だとか、そういう醸し出される優しさに心が次第に落ち着いてゆく。
「なんだか私、ずっと緊張してて。頭の中がずっと薫さんでいっぱいだったんです」
白状したら急に肩の力が全部抜けて、顔の筋肉が弛緩する。
へらへらと泣きながら笑う変な顔の私を見て、薫さんはぱちっと目を大きく見開いた。