嫁入り契約~御曹司は新妻を独占したい~
実際に着てみたら、さすが高級ブランドのデザイナーによるもの。とても綺麗なシルエットで丈の長さは気にならず、むしろこれでちょうどいいと思える。
色も子どもっぽくて甘すぎるかと思ったけど、派手すぎず肌馴染みがよい。
「どう? 着替えた?」
広くて豪華なフィッティングルームから、恐る恐る顔を出す。
「おいで、恥ずかしがらないで」
お姫様みたいに手を引いてエスコートされ、私は渋々フィッティングルームを出た。
「あの……どうですか?」
着た感じもぴったりだし、シンプルだからゴールドのネックレスとかして、髪をアップにするのもいいかもしれない。
じっとこちらを見つめたまま、一言も感想を言わない薫さんと店員さんの代わりに自分でそんなコーディネートを想像していると。
「ああ、ごめん。あまりにも可愛いから一華に見惚れて、言葉を失っていたよ」
薫さんは急に放心から醒めたように目を見張って、さらりとそんな気障なことを言った。
「お、大げさですよ……」
「いいえ! とってもお似合いですよ、櫻葉様!」
店員さんがすかさず営業トークをする。
私〝櫻葉様〟じゃないんだけどな……と、心の中でひとりごちた。
「これに決めよう。いいね? 一華」
薫さんが店員さんに目配せをする。
「ではどうぞ、こちらに」
フィッティングルームのドアが開けられ、再び着替えに入るよう促された。
「シャンパンをご用意いたしましたので、櫻葉様はどうぞこちらでお待ちください」
店員さんが笑顔で言う。
薫さんが踵を返し、一歩足を進めようとしたとき。
色も子どもっぽくて甘すぎるかと思ったけど、派手すぎず肌馴染みがよい。
「どう? 着替えた?」
広くて豪華なフィッティングルームから、恐る恐る顔を出す。
「おいで、恥ずかしがらないで」
お姫様みたいに手を引いてエスコートされ、私は渋々フィッティングルームを出た。
「あの……どうですか?」
着た感じもぴったりだし、シンプルだからゴールドのネックレスとかして、髪をアップにするのもいいかもしれない。
じっとこちらを見つめたまま、一言も感想を言わない薫さんと店員さんの代わりに自分でそんなコーディネートを想像していると。
「ああ、ごめん。あまりにも可愛いから一華に見惚れて、言葉を失っていたよ」
薫さんは急に放心から醒めたように目を見張って、さらりとそんな気障なことを言った。
「お、大げさですよ……」
「いいえ! とってもお似合いですよ、櫻葉様!」
店員さんがすかさず営業トークをする。
私〝櫻葉様〟じゃないんだけどな……と、心の中でひとりごちた。
「これに決めよう。いいね? 一華」
薫さんが店員さんに目配せをする。
「ではどうぞ、こちらに」
フィッティングルームのドアが開けられ、再び着替えに入るよう促された。
「シャンパンをご用意いたしましたので、櫻葉様はどうぞこちらでお待ちください」
店員さんが笑顔で言う。
薫さんが踵を返し、一歩足を進めようとしたとき。