嫁入り契約~御曹司は新妻を独占したい~
第7章
【第7話】
「うっわー、こんな豪華なところで周年記念パーティーやったんだぁ! いいな〜、私も来たかったな!」
さっきから忙しなく内装を見回している詩織の目は、キラキラと輝いている。
周年記念パーティーから数日後の週末、私は再び外資系高級ホテルのロビーに足を運んでいた。
「総務の留守番組はほんと悲惨だったよー。参加できた上司たちは今頃美味しいもの食べてるんだろうね、って。カップ焼きそば食べながら話しててさぁ」
少しでもパーティーの雰囲気を味わいたいという詩織のリクエストで、ホテル一階のカフェレストランにやって来たのだ。
ロビーと繋がっているのでホテルのヨーロピアンな雰囲気をそのままに、クラシカルな家具や食器も素敵で、極上のケーキと紅茶が楽しめる格調高いカフェだ。
「こういうところ、これからも一華はちょくちょく来られるんじゃない? 社長夫人だもんね! いいなー、セレブは」
季節のフルーツタルトを頬張りながら、詩織は冷やかすような声で言った。
「うーん、どうかな……」
言葉を濁し、私は物思わしげな顔で紅茶を飲み込む。
『じゃあ俺らの結婚式も、ここにしよう』
本気、なのかな。
ただの契約なのだから、私の希望なんて叶える必要ないのに。
『まあ、それもそうだね』
あれから私は着替えてしまったので会場に戻ることもできず、薫さんを残して先にタクシーでホテルを出た。
マンションに帰ってひとりで眠り、朝は洗濯をして朝食を作って食べ、表面上はうまく、これまでの関係を続けていると思えるけれど、心にはヒビが入ったようにきしきしと痛かった。
「うっわー、こんな豪華なところで周年記念パーティーやったんだぁ! いいな〜、私も来たかったな!」
さっきから忙しなく内装を見回している詩織の目は、キラキラと輝いている。
周年記念パーティーから数日後の週末、私は再び外資系高級ホテルのロビーに足を運んでいた。
「総務の留守番組はほんと悲惨だったよー。参加できた上司たちは今頃美味しいもの食べてるんだろうね、って。カップ焼きそば食べながら話しててさぁ」
少しでもパーティーの雰囲気を味わいたいという詩織のリクエストで、ホテル一階のカフェレストランにやって来たのだ。
ロビーと繋がっているのでホテルのヨーロピアンな雰囲気をそのままに、クラシカルな家具や食器も素敵で、極上のケーキと紅茶が楽しめる格調高いカフェだ。
「こういうところ、これからも一華はちょくちょく来られるんじゃない? 社長夫人だもんね! いいなー、セレブは」
季節のフルーツタルトを頬張りながら、詩織は冷やかすような声で言った。
「うーん、どうかな……」
言葉を濁し、私は物思わしげな顔で紅茶を飲み込む。
『じゃあ俺らの結婚式も、ここにしよう』
本気、なのかな。
ただの契約なのだから、私の希望なんて叶える必要ないのに。
『まあ、それもそうだね』
あれから私は着替えてしまったので会場に戻ることもできず、薫さんを残して先にタクシーでホテルを出た。
マンションに帰ってひとりで眠り、朝は洗濯をして朝食を作って食べ、表面上はうまく、これまでの関係を続けていると思えるけれど、心にはヒビが入ったようにきしきしと痛かった。