嫁入り契約~御曹司は新妻を独占したい~
第8章
【第8話】
ベランダの窓を開けたら、ダイニングテーブルに放置していたお惣菜の容器が風でからりと動いた。
週明けには天気が崩れると朝のニュースの天気予報で言ってたので、シーツやタオルケットも一気に洗った。
「一華もデザート食べる?」
両手いっぱいに広げて、お日様の匂いがするシーツを抱きしめるように持っていた私に、詩織が言う。
「ううん、今はいいや。お腹いっぱいだし」
「じゃあ、先選んでもいい?」
「いいよー。あ、でもメロン味は残しといてね! 風太が好きだから」
「ちぇっ」
おとなげなく唇を尖らせた詩織は、冷凍庫を開けてカップアイスを取り出す。
ダイニングテーブルの椅子に座ると、コンビニでもらったスプーンを袋から出して、アイスを食べ始めた。
「よく乾いてる、いい香り」
シーツを畳むと、リビングのソファに重ねて置いた。
新しい柔軟剤は、お花と陽光を交ぜたみたいな、晴れた日の公園みたいな、温かい匂いがした。
なんて言うのかなぁ。
高級な場所でスポットライトを浴びて華々しく生けてあるようなお花じゃないけれど、例えば学校の花壇の脇に咲いてる昼休みの撫子とか、細道でどこかの庭先から香ってくる夕方の金木犀とか、そういう日常のほっこりした甘い香りを彷彿とさせる優しい匂い。
「このシーツを敷いて寝たら、いい夢が見られそう……」
シーツに顔を埋め、夢見心地で呟いた私を、詩織は怪しい人を見る視線全開にした。
「なに呑気なこと言ってんの? そんなことより早く就職先見つけなくちゃでしょ!」
「へへ、そうでした」
すでにカップを空にしようとしている詩織は、会社が休みの今日、人気中華料理をテイクアウトしてきてくれて、一緒にランチを食べた。
ベランダの窓を開けたら、ダイニングテーブルに放置していたお惣菜の容器が風でからりと動いた。
週明けには天気が崩れると朝のニュースの天気予報で言ってたので、シーツやタオルケットも一気に洗った。
「一華もデザート食べる?」
両手いっぱいに広げて、お日様の匂いがするシーツを抱きしめるように持っていた私に、詩織が言う。
「ううん、今はいいや。お腹いっぱいだし」
「じゃあ、先選んでもいい?」
「いいよー。あ、でもメロン味は残しといてね! 風太が好きだから」
「ちぇっ」
おとなげなく唇を尖らせた詩織は、冷凍庫を開けてカップアイスを取り出す。
ダイニングテーブルの椅子に座ると、コンビニでもらったスプーンを袋から出して、アイスを食べ始めた。
「よく乾いてる、いい香り」
シーツを畳むと、リビングのソファに重ねて置いた。
新しい柔軟剤は、お花と陽光を交ぜたみたいな、晴れた日の公園みたいな、温かい匂いがした。
なんて言うのかなぁ。
高級な場所でスポットライトを浴びて華々しく生けてあるようなお花じゃないけれど、例えば学校の花壇の脇に咲いてる昼休みの撫子とか、細道でどこかの庭先から香ってくる夕方の金木犀とか、そういう日常のほっこりした甘い香りを彷彿とさせる優しい匂い。
「このシーツを敷いて寝たら、いい夢が見られそう……」
シーツに顔を埋め、夢見心地で呟いた私を、詩織は怪しい人を見る視線全開にした。
「なに呑気なこと言ってんの? そんなことより早く就職先見つけなくちゃでしょ!」
「へへ、そうでした」
すでにカップを空にしようとしている詩織は、会社が休みの今日、人気中華料理をテイクアウトしてきてくれて、一緒にランチを食べた。