ポルターガイスト~封じられた扉~
「ちょっと! そんなことしたら怒られる!」


愛奈が慌てて紀人を止める。


しかし、紀人は気にしている様子ではなかった。


壁には黒いシミが大きく浮かび上がっている。


「後でちゃんと片付けるから大丈夫だ」


広貴がもう1つボールを取り出して紀人と同じように壁にかけた。


黒いシミは徐々に大きくなってきて、それは姿を見せ始める。


「なに……これ……」


シミが大きくなるにつれて、あたしはその場から後ずさりをしていた。


近くからじゃハッキリとした形が見えないけれど、少し遠ざかればよくわかる。


シミの形は間違いなく人間の形をしていたのだ。


「人間……?」


杏美の呟きに、全身に鳥肌が立つのを感じた。


男か女がわからないが、丸い頭部に胴体、手足がはっきりと認識できる形だ。


「こ、こんなの偶然だよ」


愛奈が強気で言うが、その声は震えている。


「まじかよ、これすげぇな」


元浩は興味津々と言った様子で壁のシミに近づいて行く。
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