ポルターガイスト～封じられた扉～

亜香里ちゃんと洋司君はとても仲の良い姉弟だったみたいだ。


亜香里ちゃんは生まれたばかりの洋司君のことをとても可愛がっていたし、洋司君も亜香里ちゃんにとてもなついていた。


「そのまま、仲良く育ってくくればよかったんだけどね、事態はそう上手くはいかなかった」


岩谷さんはブラックコーヒーをひと口飲んで話を続けた。


「元々宝来家は跡取りとして息子が欲しかったんだ。今の時代でも、女の子は将来お嫁へ行くことが主流だろう？　当時はそういう風習はもっともっと根強かった。男が婿養子に行くと、後ろ指を指されたんだ」


「めんどくさい世の中ですね」


広貴が呟く。


つい、口にでてしまった感じだけれど、あたしも同感だった。


好きだから一緒にいたいという、個人の感情が一番大切だと感じられた。


「確かに、めんどくさいね」


岩谷さんはそう言って笑った。