ポルターガイスト~封じられた扉~
「そんな待望の男の子を授かったわけだから、宝来家は大喜びだった。姉の亜香里ちゃんと一緒に大切に育てられるはずだったけれど、そこで差が出て来てしまったんだな」


あたしは頷いて話を聞いた。


亜香里ちゃんの日記にも書いてあった通りだ。


弟が生まれて3年ほどした頃から、事態は変わってきたのだ。


「宝来家の亭主は洋司君に家を継がせるために、幼少期から懸命に育てようとした。勉強もさせて、様々なイベントにも連れて行って慣れさせるようにしたんだ」


「まだ3才かそこらの子供だったんですよね?」


広貴が聞く。


岩谷さんは頷いた。


「そう。洋司君にとってはわけがわからなかっただろうね。でも、まずはそれでよかった。こんな世界があるんだってことを見せるだけでも、全然違うからね」


そうかもしれない。
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