ポルターガイスト~封じられた扉~
「どうして人型にシミが出て来るんだろうな? 内側になにかあるのか?」


元浩の言葉に広貴が笑って「なにかってなんだよ。死体が埋め込まれてるとでも言うのか?」と、言う。


「やめてよ怖いじゃん」


愛奈があたしの腕を抱きしめるようにして言った。


「これ、先生呼んできた方がいいよね?」


杏美が我に返ったように言った。


「そ、そうだね。水をかけたことは怒られるかもしれないけど、気味が悪いもんね」


あたしは何度も頷いて同意した。


「もう少し待ってよ」


シミの一番近くにいた元浩がそっと壁に手を伸ばした。


「どんな感触なのか触ってみたい」


そう言ってシミに指の先を触れさせた……次の瞬間だった。


地震が起きたような衝撃が調理室に響いていた。


元浩が触れた壁がガラガラと音を立てて崩れ、埃を舞い上がらせたのだ。


咄嗟に身をかがめ、自分の頭を庇う。


それほどの衝撃を感じたが、崩れたのは壁の一部分だけだったようだ。
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