ポルターガイスト~封じられた扉~
だから、家政婦さんが家にいる時間帯はまだ良かった。


一緒に家の掃除をしてみたり、開いた時間にはお人形遊びをしてもらったりしたから。


でも、家政婦さんはいつでも家にいるわけじゃない。


休みで家に来ない日は、あたしは本当に独りぼっちだった。


誰とも顔を合わせない日だってあったくらいだ。


そのくらい、両親にとってあたしはどうでもいい存在になっていたのだ。


1度だけ、両親を困らせるためにこっそり家を抜け出したことがある。


夜中の、とても暗い時間帯だった。


あたしは大きな懐中電灯を1つ手にして窓から外へ出た。


いつもの街並みが、夜というだけで別世界に感じられた。


肌に当たる風の感覚も、どこからか聞こえて来る夏虫の声も、家の中で聞いているのとは全然違った。


なにより、あたしはとても悪いことをしているという自覚があった。


バレたらきっと、すごく怒られるだろう。


それでもよかった。


言い知れぬ解放感が胸の中に膨らんでいて、あたしは走りながら笑っていた。


このままずっとどこまでも行けそうな気がする!
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