ポルターガイスト~封じられた扉~
「ほら、あれが北極星ですよ。学校で習いましたか?」


「ううん、まだ。どれ?」


「あの、一番輝いている星です。綺麗ですね」


「本当だねぇ、綺麗だねぇ」


本当は、空を見上げてみてもどれがどれだかわからなかった。


だけどあたしは家政婦さんの言葉に同意して、空をジッと見ていた。


次第に星たちが歪んで行って、目の奥から熱い物があふれ出して来た。


きっと、心のどこかで期待していたんだ。


両親が迎えに来てくれる。


そして、あたしの手を握って家に連れて帰ってくれると。


でも、違った。


来たのは家政婦さんだった。


一度溢れだした悲しみを止めることはできなかった。


あたしは夜空を見上げたまま、声を上げて泣き出してしまったのだ。
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