ポルターガイスト~封じられた扉~
☆☆☆

あたしが家出をした翌日も変わらない朝が来た。


驚いたことに、両親はあたしが家出をしたことを本当に気が付いていなかったみたいだ。


あたしはガッカリするのを通り越して、呆れてしまった。


朝から洋司のための英才教育を熱心にしている両親を見ていると、徐々に自分の体温が下がって行くのを感じた。


「洋司は良い子だ」


「洋司は賢い子だ」


「洋司は将来、この家をつぐんだぞ」


「洋司」「洋司」「洋司」「洋司」「洋司」「洋司」「洋司」「洋司」「洋司」「洋司」


いつの頃からか、その名前を聞くたびにあたしは気が狂ってしまいそうになっていた。
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