ポルターガイスト~封じられた扉~
そんな日が続いた3日後のことだった。


あたしは1人で裏庭に出ていた。


裏庭には大きな井戸が掘られていて、今でも水が湧いている。


あまり利用しなくなったけれど、夏の間はこの井戸から水を汲んで水浴びをするのが好きだった。


井戸の水はとても冷たくて心地いいのだ。


あたしは桶に井戸の水をためて両手にすくい、顔を洗った。


透明度の高い水は氷を入れたように冷たくて、一瞬にして目が覚める。


しばらく桶に両手を付けてぼんやりと涼んでいると、小さな足音が聞こえて来た。


視線を向けると、洋司が1人でこちらに歩いてくるのが見えた。


あたしの姿を見つけた洋司は嬉しそうにほほ笑み、駆け寄って来る。


「走ったら危ないよ」


あたしの忠告なんてまるで聞いていない。


洋司はすぐにあたしの隣にしゃがみ込んで、桶の中の水を覗き込んだ。


「水、冷たくて気持ちいいよ」


そう言って洋司の手を取り、水につけてやる。
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