ポルターガイスト~封じられた扉~
「わがまま言ったら怒られるんだよ」


あたしは洋司を突き放すように言った。


両親を独り占めしているくせに、勉強が嫌だなんてわがままだと思った。


洋司は今にも泣きだしてしまいそうな顔になった。


「勉強イヤ!」


それでも頑なに左右に首を振って見せる。


「あたしは、お父さんにもお母さんにも勉強を教えてもらえない!」


つい、怒鳴ってしまった。


日ごろから感じていたモヤモヤが、一気に吐き出された瞬間だった。


突然怒鳴ったあたしを見て、洋司は唖然とした表情をこちらへ向ける。


大きく見開かれた目から、眼球がコロリと落ちてしまいそうだ。


それでも、あたしは自分と止める事ができなかった。


「あんたがいなかったら、あたしはもっと両親に構ってもらえたのに……!」


怒りに火がついたあたしはそのまま両手で洋司の体を持ち上げていた。


洋司はなにかを感じ取り、激しく泣き叫ぶ。


それでもあたしは地面におろしてやらなかった。
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