ポルターガイスト~封じられた扉~
何度か、頭の中に聞こえて来る洋司の声について説明しようと思ったが、結局誰にも言わなかった。


あたしをかわいがらなかった両親と、あたしを裏切った家政婦に相談することはなにもない。


そのまま何日か経過したとき、あたしは自分の皮膚がボロボロと剥がれ落ちていくことに気が付いた。


ひじやひざの皮膚が硬くなり、ひっかくとそのまま落ちて行く。


皮膚が落ちた後は真っ黒に黒ずんでいて、石のように固かった。


『それは僕からの呪いだよ』


「呪い?」


『そうだよ。僕はお姉ちゃんを呪うことにしたんだ』


それは、いつもの洋司の声だった。


怒りも悲しみも感じさせず、ただ無邪気な洋司の声だった。
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