ポルターガイスト~封じられた扉~
「壁の向こうに行けるようなドアはどこにもないよね」


調理室の中を調べていた愛奈が言う。


調理室はすべてがそろっているため、準備室のようなものは存在しないのだ。


「やっぱりダメか。俺たちが眠ったときだけ、向こうの行けるんだな」


元浩が諦めてそう呟いた。


と、その時だった。


「なにをしてるんですか!?」


教室のドアが開くと同時にそんな声がして、あたしたちは一斉に振り向いていた。


そこに立っていたのは家庭科の先生だ。


先生はあたしたちを見て大股に歩いてくる。


「これは、あの……」


どう言い訳をしようかと考えている間に、先生はあたしたちの前で仁王立ちになっていた。


「電気がついているから何かと思えば……。今はホームルームの時間でしょう!?」


先生は眉を吊り上げて怒っている。


「でも、大切な用事があったんです」


広貴は申し訳なさそうな声で言った。

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