ポルターガイスト~封じられた扉~
学校へ赴任してきたばかりで変人扱いされるのは、先生も嫌だったのだろう。


それ以降、先生は壁のシミのことも、ドアを見たことも、自分の心の奥深くにしまい込んでしまったようだ。


生徒に話したのはこれが初めてだったみたいだ。


「この学校を建てた人物なら、亜香里ちゃんの部屋が残されたままなのかどうか知ってるはずだ」


見取り図へ視線を向けて紀人が言った。


「確かにそうだね」


愛奈が頷く。


「それなら創設者の桜さんに話をきけばいいけど、でも……」


先生は途中で口ごもって言葉を止めてしまった。


なにか考えている様子だ。


「桜さんは今どこにいるんですか?」


そう聞くと先生は「老人ホームよ」と、答えたのだった。
< 165 / 202 >

この作品をシェア

pagetop