ポルターガイスト~封じられた扉~
体が震えて止まらない。


呼吸は浅くなって、メマイを起こしてしまいそうだ。


「どうしたんですか!?」


大きな声がしてドアが開かれ、さっきの男性介護士が入って来た。


桜さんの悲鳴を聞きつけたのだろう。


「突然叫び出したんです!」


桜さんの近くにいた先生がすぐに説明した。


「ちょっとどいて!」


男性介護士は先生を手のひらで押しのけると、桜さんの前に立った。


「大丈夫ですか? 聞こえていますか?」


懸命に話かけているけれど、桜さんは返事をしない。


その光景に逃げ出したくなった。


1人の老人を追い詰めてしまった後悔が湧き上がって来る。
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