ポルターガイスト~封じられた扉~
もうここにはいられないと思い、部屋を出ようとしたときだった。


「ちょっと待って」


元浩がそう言ってあたしたちを止めていた。


振り向くと、手には日記帳が持たれている。


それもとても分厚い、100年日記だとわかった。


一瞬亜香里ちゃんの日記帳と思ったが、それは見たことのないものだった。


「それなに?」


質問すると、元浩は部屋の中の本棚へ視線を向けた。


本棚といっても簡易的なもので、本もあまり並んでいない。


「桜さんの日記?」


愛奈が興味を示して元浩に近づく。


「そんなの勝手に読んじゃダメだよ。もう行こうよ」


相変わらず桜さんの悲鳴は止まらなくて、男性介護士が慌てて部屋を出て行く。


鎮静剤でも取って来るのかもしれない。


「なんの収穫もなく帰るわけにはいかないだろ」


元浩はそう言って乱暴に日記帳を開いた。
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